「史上最大の恐竜って、どの種類?」
「最新の恐竜の大きさランキングって、どうなってるの?」
恐竜といえば、デカい。
というわけで、シンプルに、みんな気になる史上最大の恐竜大きさランキングです。
本記事の「史上最大の恐竜ランキング」で扱う恐竜の範囲
恐竜は、今は絶滅している過去の生き物。実物を目にすることができず、見つかった化石や既存の知識をもとに、生きていたときの姿を推測するしかありません。
それゆえ、その姿を正確に解明するのは難しく、サイズの推定1つとっても、専門家の間でも意見が分かれたりします。また、「そもそも、この恐竜は存在したのか?」「この恐竜とこの恐竜は、同じ種類ではないのか?」などなど、あやふやなこと、わからないことはたくさんあります。
そして、同じ恐竜でも、ほとんど全身の骨格が見つかっている完全性の高い種類から、ほんの1部しか分かっておらず存在自体が伝説に近いレベルの種類まで、確実性は様々。しかも、「ここからは確実に信用できる」「ここからは嘘」というふうに明確に分けれるものでもありません。
さて、そんな状況の中で、どこまでを史上最大の恐竜ランキングに含めましょう?大きさの推定値は、どの範囲にしましょう?
本記事では、
✔ランキングに含める条件は以下3つ
①2021年現在、有効名である
②化石の現物が保存されている
③化石の情報や既知の類似種から、ある程度の全体像が推測できる
✔大きさの推定値は、最も広く支持されているであろう説(できるだけ新しく、信頼性が高いもの)を参考にする
上記の方針で、エントリーさせようと思います。(何を以って通説とするか?と言われると、これまた明確なものではなく、難しいところではありますが、)
実在性の低い種類や、研究途上やデータ不足で推定値の信頼度が低い種類、また極端に大きな推定値は、本記事のランキングには含めないことにします。
※推定体長&推定体重を総合的に考慮した上で、ランク付けています。
※恐竜のサイズの推定値は研究者によっても様々、採用する学説によってはランキングも異なってきます。また、これからの発見や研究次第で大きく変動する可能性もあります。
参考程度にご覧下さいませ。
11位:フタロンコサウルス
- 種名: Futalognkosaurus dukei
- 体長: 24m
- 体重: 30t
発見当初は、32〜34mほどの超巨大竜脚類と考えられていました。
大型竜脚類の化石は、部分的にしか発見されないことが多いよう。しかし、このフタロンコサウルスは全身の骨の種類のうち26.8%が発見されており、サイズの推定値もかなり信頼度の高い数字といえます。
10位:ドレッドノータス
- 種名: Dreadnoughtus schrani
- 体長: 26m
- 体重: 22.1〜38.2t
全身の骨の種類のうち、70.4%が発見されている、非常に完全性の高い恐竜です。
言い換えれば、かなり高い確率で、最低でもこのサイズの動物が太古の地球上を歩いていた事実を示している、といえます。
首が長く、体長の半分ほどを占めていました。その割に、ドレッドノータスは水平な姿勢。
反対に、同じく首が長いブラキオサウルスは前足が後ろ足より長いため、ボディーの前の方が高くなる傾斜のある姿勢だったと考えられています。
こうした事実の解明も、多くのパーツが見つかったことによる産物ですね。
9位:ブラキオサウルス
- 種名: Brachiosaurus altithorax
- 体長: 25m
- 体重: 23〜50t
有名な竜脚類。長い間、最も大きく最も背が高い恐竜と考えられていました。
昔は体重80tとさえ言われ、その重さを軽減するため水中で生活していたとも考えられていました。が、2021年現在では、下方修正。大きく見積もって50tほどと言われています。
前足の方が長く、傾斜のある姿勢をしていたと考えられています。
ブラキオサウルスといえば頭の形が印象的ですが、本当にあの形だったのかは議論が分かれています。というのも、お馴染みの頭骨の主は、以前はブラキオサウルスに分類されていたものの、現在では「ギラッファティタン」という別の恐竜として再分類されているから。
現在ブラキオサウルスとされている恐竜の頭骨の形は、よくわかっていないのです。
8位:ディプロドクス
- 種名: Diplodocus hallorum
- 体長: 33m
- 体重: 10〜20t
知名度の高い竜脚類。
以前「セイスモサウルス」の名前で呼ばれていた最大級候補の恐竜がディプロドクス属に編成され、一躍、史上最大級の恐竜に。
体長は最大の恐竜の1つですが、大部分を鞭のように長い尻尾が占めており、ボディーは小さめ。体重も、他の大型竜脚類に比べ、軽くなっています。
鉛筆のような形状の歯が生えており、葉っぱを櫛で漉くように食べていたと考えられています。
鞭のような長い尻尾は、捕食者である肉食恐竜を撃退するための武器として使用されていたよう。
7位:スーパーサウルス
- 種名: Supersaurus vivianae
- 体長: 33m
- 体重: 30t
有名な史上最大級の恐竜です。1日の食事は、500kgを超えたとも。
以前はブラキオサウルスに近い形で描かれていましたが、2021年現在ではディプロドクスに近い恐竜と考えられています。
6位:パラリティタン
- 種名: Paralititan stromeri
- 体長: 26m
- 体重: 59t
最も重い恐竜の1つと考えられています。その上腕骨は、発見された白亜紀の竜脚類の中で最も長いことで知られています。
化石発見のメンバーの1人、ジョシュア・B・スミス氏は、「どんな推定でも本当に巨大な恐竜と推定された」と語っているほど。
テチス海の海岸に沿って広がっていたマングローブ林に生息していたと考えられています。名前の意味は、「海辺の巨人」。
5位:サウロポセイドン
- 種名: Sauroposeidon proteles
- 体長: 28m
- 体重: 50t
優にこのサイズに達したと考えられています。
部分的な頸椎の化石のみが発見されていますが、その頸椎の長さは、これまでに発見された竜脚類の中でも最長。ブラキオサウルスに似ているが更に巨大な、史上最大級の竜脚類候補として認識されるようになりました。
ブラキオサウルスに近いと考えられていたが、むしろティタノサウルスに近いという説も。
4位:トゥリアサウルス
- 種名: Turiasaurus riodevensis
- 体長: 30m
- 体重: 50t
ヨーロッパで発見された恐竜の中では最大。
新竜脚類(ディプロドクス、ブラキオサウルス、ティタノサウルス類など、多くの有名な竜脚類が含まれる)とは別系統の恐竜と考えられています。
ハート型の歯を持っていることでも知られています。
3位:マメンチサウルス
- 種名: Mamenchisaurus sinocanadorum
- 体長: 35m
- 体重: 60〜80t
もともと、竜脚類の中でも特に首の長い恐竜として知られていた、マメンチサウルス。
そして、断定には至っていませんが、マメンチサウルスの一種のものと考えられている2つの巨大な頸椎が存在。(一応、頸椎の主はマメンチサウルスに分類されており、Mamenchisaurus sinocanadorum の種小名が付けられている)
もし、この恐竜のものだとすれば、その体型をもとに推定される全身のサイズは、35m・60〜80tに達するそうです。
まだ正式には発表されていませんが、体長・体重ともに史上最大級の恐竜である可能性も。
名前の由来は、発見地である中国四川省の「馬鳴溪」の誤読「馬門溪(マーメンシー Mǎménxī; )」。
2位:パタゴティタン
- 種名: Patagotitan mayorum
- 体長: 37m
- 体重: 69.1t
2014年に報告された、認識されてから日が浅い恐竜。そして、150個(少なくとも6個体分)という、多数の化石が発見されたことで知られています。
が、まだ解明が進んでおらず、サイズを推定するのには時期尚早という声も。33.5m・45.4t ほどとも言われています。
1位:アルゼンチノサウルス
- 種名: Argentinosaurus huinculensis
- 体長: 30〜45m
- 体重: 80〜100t
2021年現在、(その推定にある程度の確実性を持った者の中で)、史上最大の竜脚類として知られています。存在し得る最大級の恐竜とさえ、言われています。
2019年のグレゴリー・ポール氏の推定では、35m・65〜75tと若干下方修正されています。それでも史上最大級には変わりありませんね。
これほどまでに巨大な恐竜ですが、ギガノトサウルスなど大型肉食恐竜に捕食されることもあったようです。
番外編①:史上最大級の可能性はあるが、データが少なすぎてサイズ推定の信頼性が低い恐竜
アンタルクトサウルス
- 30.5m
- 45t
一応の推定値は、上記のよう。
発見されている骨の種類は全体の3.5%。研究途上で、全体像を理解するのは困難と言われています。
番外編②:史上最大級の可能性はあるが、存在したかどうか自体あやふや
マラアプニサウルス(アンフィコエリアス)
- 体長: 35〜40m
- 体重: 80〜120t
(化石のデータを信用した上で、近縁と考えられるレッバキサウルスをもとに推定したサイズ)
ケタ外れに巨大な竜脚類として、恐竜好きなら聞いたことある方もいるのでは?
唯一発見されている化石が失われており、この恐竜が存在したとされる証拠は、図面とフィールドノートのみ。
残されている化石の大きさの記録を信用した前提で、近縁と考えられていたディプロドクスのバランスを参考にサイズを推定した結果、もともとは体長60mに達するとも言われていました。
が、、。
①ディプロドクスの仲間ではなさそう
②そもそも、化石のサイズのデータがタイプミスでは?
などなどの理由から、巨大竜脚類としての確実性は乏しく、2021年現在では、幻の史上最大の恐竜として認知されています。
ブルハトカヨサウルス
この恐竜の証拠は、簡単な骨のデッサン(線画程度で、特徴まではわからない)のみ。
一応、記録を信用した上での推定値は以下。
- 体長: 48〜55m
- 体重: 269t
…体重がめちゃくちゃです。こちらも、存在の確実性は低いですね。
史上最大級の竜脚類たちは、どうしてここまで巨大になったのか?
体長30m・体重50tにも及ぶ、史上最大級の竜脚類。どうして彼らは、ここまで巨大になれたのでしょうか?
変温動物説
結論をざっくり言うと、「竜脚類は変温動物であり、少ないエネルギーでも生きていける省エネ体質だったため、大きくなれた」と考えられています。
以下に、詳しく解説します。
人間を始め多くの哺乳類は、「恒温動物」といわれ、体温を調節することができ、気温に関係なく体温をほぼ一定に保つことができます。恒温動物は、体温を一定に保つために、比較的多くのエネルギーを必要とします。(寒い冬に部屋の中を温めるためには、エアコンやストーブなどで電気エネルギーを消費しますよね。)
対して、爬虫類は気温によって体温が変わる変温動物。変温動物は体温維持の必要がないので、比較的、省エネ。恐竜も爬虫類なので、当初は変温動物だと考えられていました。
しかし研究が進んで、恐竜は恒温動物だったという学説が主流に。超大型竜脚類も、一時は恒温動物だと考えられるようになりました。
が、ここでさらに学説の巻き返しがあり、「竜脚類に関しては、やはり変温動物だったのでは?」と言う説が出てきます。
これほどに巨大な体を持つ竜脚類が恒温動物だった場合、莫大な食料や巨大な心臓が必要になるなど、色々と問題が生じてくると考えられるようになったからです。逆に変温動物だった場合、これらの問題はクリアできます。最大級の竜脚類でも、変温動物だった場合、アフリカ象と同じ位の食料で生きていけるそう。
というわけで、「省エネ変温動物説」が、2021年現在、最も有力な解です。
*
ちょっと余談になるのですが、現在、大型竜脚類について注目されている説は、「慣性恒温説」。竜脚類ほどの巨体だと熱が逃げづらく、運動熱・腸内細菌の発酵熱・太陽の熱などを体内に蓄えるだけで、(変温動物で体温維持機能がなくとも)体温を一定に保てたという説です。
変温動物ではあるのですが、結果的に恒温動物と同じように体温維持ができたかもしれない、ということですね。"なんちゃって恒温動物"とでも言ったところです。
まとめ
史上最大級の恐竜のランキングでした。
恐竜など古代生物に関する学説は、新しい発見や研究の進歩とともに目まぐるしく変化しています。
今回紹介したような巨大竜脚類についても、筆者が子供の頃の図鑑の記載と比べると、大きく変わっていたりします。(2000年代の図鑑とかだと、まだセイスモサウルスが存在し、史上最大になってました)
もう何年かしたら、もっと巨大な恐竜が見つかったり、名前がなくなる恐竜が出てきたり、そんでもって現在のランキングは跡形もなくひっくり返っていたりするかもしれません。ワクワクしますね。
それではまた。