「史上最大の肉食恐竜ってどれ?」
「肉食恐竜の大きさランキングを知りたい」
恐竜好きなら興味ないはずがない、肉食恐竜の大きさランキングです。
史上最大の肉食恐竜ランキングに含める恐竜は?
「肉食恐竜」が含める範囲には、よく使われる分類例として、以下の2つの分け方があるように思われます。
①獣脚類すべて
②陸生動物を捕食する恐竜
①だと、分類学上の獣脚類全てが含まれることになります。
②だと、獣脚類であっても、雑食性・植物食性・魚食性といった恐竜は除かれることになります。
本記事の史上最大の肉食恐竜ランキングでは、「①獣脚類すべて」を含むことにします。
※ 2021年現在において、ある程度の信頼性を持った推定値を参考にしています。
※ 体長・体重を総合的にみて、独自にランキング付けしています。参考程度にご覧下さいませ。
10位:エパンテリアス
- 体長: 12.1m
- 体重: 1〜4t
アロサウルスに極めて近い恐竜。研究者によっては、アロサウルス属に含めて考える人もいるよう。(アロサウルスの平均体長は約8.5m。最大級の個体は12mほどに達したとも考えられる)
比較的細身だったと考えられており、推定体重は軽めの傾向です。
アロサウルス科。属名の意味は「抱き支える者」。生息年代はジュラ紀後期。
9位:マプサウルス
- 体長: 11.5m
- 体重: 5t
近い種類のギガノトサウルスはがっしりとした体型ですが、マプサウルスは細めな体型です。
大型の獣脚類としては珍しく、群集で化石が発見されました。付近で発見された化石は、全てマプサウルス一種のみ。そして、成長段階が異なる複数個体が含まれていました。
これらから、マプサウルスは群れを形成していた可能性が強いと考えられています。
カルカロドントサウルス科。属名の意味は「地球のトカゲ」。生息年代は白亜紀前期。
8位:タルボサウルス
- 体長: 10〜12m
- 体重: 4〜5t
ティラノサウルスに非常に似た恐竜。
頭骨の形に違いあり。ティラノサウルスの頭は後ろにいくほど幅が広くなっていますが、タルボサウルスの頭骨の後部はそれほど広がっていません。
頭骨の形状の違いにより、ティラノサウルスは立体視が可能だったと考えられていますが、タルボサウルスは立体視ができなかったよう。
かつては、ティラノサウルスに含めて考えられることもありました。
ティラノサウルス科。属名の意味は「恐れさせるトカゲ」。生息年代は白亜紀後期。
7位:ズケンティラヌス
- 体長: 10〜12m
- 体重: 5.4t
ティラノサウルス科の恐竜。ティラノサウルスよりはやや小型、タルボサウルスよりはやや大型の傾向です。
中国山東省の、諸城市で発見されました。発見された地域は、ズケンティラヌスが生きていた頃には氾濫原であり、恐竜の化石が密集していることで知られています。
ティラノサウルス科。属名の意味は「諸城の暴君」。生息年代は白亜紀後期。
6位:アクロカントサウルス
- 体長: 11.5m
- 体重: 6.2t
神経棘が特徴の大型肉食恐竜。当時、北米では最大級の肉食恐竜でした。
同時期・同地域に生息していた競合する肉食恐竜は、3.5mほどのデイノニクスくらいしか見つかっておらず、頂点捕食者だったと考えられています。
背中の神経棘は、筋肉を支える役割があったと考えられています。以前は、神経棘から連想されるスピノサウルスの仲間と考えられていたよう。現在はカルカロドントサウルス科に分類されるのが主流。
カルカロドントサウルス科。属名の意味は「高い隆起を持つトカゲ」。生息年代は白亜紀前期。
5位:ティラノティタン
- 体長: 13m
- 体重: 4.9〜7t
ティラノサウルスに似た名前ですが、遠縁です。実際は、カルカロドントサウルス類に属する恐竜。
11.4~12.2m以上と推定されており、2010年のグレゴリーポール氏の推定だと13mになっています。
大型のカルカロドントサウルス類の中では、最古の恐竜と考えられています。それ故に、短い腕など、このグループとしては原始的な特徴を持っています。
カルカロドントサウルス科。属名の意味は「暴君の巨人」。生息年代は白亜紀前期。
4位:カルカロドントサウルス
- 体長: 12.8m
- 体重: 7.8t
最大級の肉食恐竜。体長や頭骨の大きさにおいて、ティラノサウルスと同等のサイズを誇る恐竜です。
カルカロドントサウルス科の恐竜は、薄く鋭いナイフのような歯が特徴。獲物の肉を切り裂き失血死させるのが、狩りの方法だったと考えられています。
獲物を骨ごと噛み砕いていたと考えられるティラノサウルスは巨大で太い歯でしたが、カルカロドントサウルスの歯は薄く切れ味に特化していたよう。狩猟方法の違いが想像できますね。
カルカロドントサウルス科。属名の意味は「ホオジロザメトカゲ」(または「ギザギザの歯のトカゲ」)。生息年代は白亜紀前期〜白亜紀後期。
3位:ティラノサウルス
- 体長: 11〜13m
- 体重: 5.4〜8t
一番有名で人気の恐竜といえば、ティラノサウルスでしょう。そんなティラノサウルスは、肉食恐竜の中でも最大級の体格を誇ります。
ティラノサウルスは、がっしりとした体、巨大な頭、指が2本の異常に短い腕が特徴の、大型肉食恐竜。
ティラノサウルスの化石標本は、完全性の高い個体がいくつか発見されています。中でも巨大な標本として「スコッティ」、「スー」が知られています。これらの推定サイズはおおよそ、体長13m、体重8t、そして頭骨の長さは1.5m。
長さ30cmにも及ぶ非常に巨大な歯を持っており、その表面はステーキナイフのようにギザギザがついていました。
頭骨の幅は広くがっしりしており、噛む力も肉食恐竜の中で最強レベルだったと考えられています。歯の形状や噛む力などから、食事の際は獲物を骨ごと噛み砕いていたと言われています。
非常な巨体・歯の形状などから、狩りを行わず、死肉を食べていたと考えられていたこともありました。しかし、ティラノサウルスの生息地では角竜が多く、生態系のバランスを保つため、捕食者となる肉食動物がいたと考えるのが自然。そして、それら角竜を捕食できる体格の肉食動物は、今のところティラノサウルスしか見つかっていません。こうした理由から、現在では狩りを行っていた説が強くなっているよう。
ティラノサウルス科。属名の意味は「暴君トカゲ」。生息年代は白亜紀後期。
2位:ギガノトサウルス
- 体長: 13.2m
- 体重: 6〜13.7t
純粋な肉食恐竜の中では、ギガノトサウルスは最大級と考えられています。
薄くナイフのように鋭い歯は、捕食対象の肉を切り裂くのに適していたよう。
頭骨の長さは、推定1.7m。この数字は、ティラノサウルスの既知の最大個体をも上回ります。しかし、頭骨の後部は見つかっていません。加え、頭骨を復元する際に、近縁の恐竜ではなく、前後に長い頭骨を持ったケラトサウルス類を参考にしています。
よって、実際のギガノトサウルスの頭骨やそれに伴う体長は、現在の推定値より少しだけ短い可能性もあります。
体重は、最大で13.7tという推定も存在します。が、ティラノサウルスに比べ(体長ではおそらく勝っているが)ボディの横幅が細いことなどから、「6t前後だったのでは?」ともいわれています。
カルカロドントサウルス科。属名の意味は「巨大な南のトカゲ」。生息年代は白亜紀後期。
1位:スピノサウルス
- 体長: 12.6〜18m
- 体重: 4〜6t or 20t
2021年現在において、既知のあらゆる獣脚類の中で最大の体格を誇ります。
背中の巨大な帆、ワニのように細長い顔が特徴の、最大の魚食恐竜です。
体長においてはほぼ確実に既知の獣脚類の中で最大と思われますが、体重においては諸説あり。体型がスリムなぶん体重も軽く4〜6t程度だったという説から、水中生活において浮力を抑えるため骨密度が高く20tほどあったという説まであります。
復元図が大きく変わったことでも有名です。以前は肉食恐竜らしい体格で復元されていましたが、化石の発見と研究が進み、水中生活に適した短足な復元図に。
スピノサウルスといえば、映画『ジュラシックパーク』の中ではティラノサウルスと死闘を繰り広げ勝利することから、強力な肉食恐竜のイメージも強いのでは?
しかし、研究や発見が進むとともに、全く異なった姿と生態で考えられるようになったので、今後の創作物でジュラシックパークのような姿が描かれる事も少なくなるでしょう。ある意味、幻の姿ですね。
スピノサウルス科。属名の意味は「棘トカゲ」。生息年代は白亜紀前期〜白亜紀後期。
まとめ
2021年現在において史上最大の肉食恐竜(獣脚類)は、スピノサウルスということになりました。
陸生動物を捕食する「狭義の」肉食恐竜だと、ギガノトサウルスが最大級です。
恐竜を始め古代生物の研究は、新たな発見があるごとに目まぐるしく進歩しています。逆にいえば、現在存在しない生き物なので、発見がない限り既知の知識をもとに推測するしかありません。今回紹介した内容も、今後の研究次第では、大きく変わってくるかもしれませんね。
それではまた。